【やまパレ書房】孤高の人(小説)


日本の登山黎明期に実在した孤高の登山家、加藤文太郎。彼が山と出会い、極め、そして散っていったその人生を新田次郎フィルターによって物語化。

「いつしか回りの人が消えて行った。そして僕は単独行になった」。


孤高の人(上・下)

孤高の人〈上〉 (新潮文庫)

舞台となる山(読後に記憶に残ってる山)

六甲山(兵庫)、八ヶ岳(夏沢鉱泉から硫黄岳、横岳、赤岳)、北アルプスをそれはそれは隅々まで(初の夏の北アルプスは燕岳・大天井岳・槍ヶ岳・穂高の大縦走。その他、後立とか立山・剱岳、裏銀座とか)。富士山にも登っているが、そのときに登場した気象観測員は多分新田次郎本人なんだろう。

「孤高の人」と私

新田次郎の視点から、実在人物である加藤文太郎の生き様を物語にしています。事実をふんだんに盛り込んだフィクションのドラマです。ドラマである以上、主人公を際立たせるためのギャップが必要です。それが宮村健。この人は仮名。宮村は完全にディスられています。しかしフィクションとして、お話として、グッと感情移入できる存在感を放ちます。

読んだ時点で登ったことのあった富士山、立山には「ふんふん。それでそれで」と身近に感じ、まだ登ったことのない山もいつしか登りたくなりました。

私の1年目の夏、パノラマ銀座へ行きました。最終日。大天井から燕岳を歩いたとき、文太郎が撤退するシーンを思い出しました。

私の1年目秋の最後の山行。八ヶ岳縦走のスタートは夏沢鉱泉を選びました。

 八ヶ岳は同じく新田次郎の「銀嶺の人」の影響もあったりします。

相当影響されています。ていうか、加藤文太郎は主要な山をほぼ登っているので、どこへ行っても思い出すわけです。もちろん2年目の槍ヶ岳も。

やまパレ
風の記憶改めマウンテンアワー 登山パレードどっこいしょ
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加藤文太郎は不器用です。

不器用が故、出会う人とすぐに打ち解けることができません。決して人嫌いではないのに、相手が文太郎に嫌悪を感じてしまいます。さらに、折角知り合うことができても、、、死んでしまいます。

いつの間にか一人の世界に入り込みました。単独で山へ行くようになりました。「単独は危険」「山を舐めるな」という非難の声に反発し、さらに単独行の実績を求めて山に入ります。そのうち単独行者として有名になってしまいます。気がついたら孤高の登山者となってしまいました。

それでも文太郎は、本質では誰かと仲良くしたく、人が好きでした。友達が大切だったから、早すぎる最後を迎えてしまいます。子どもは生まれたばかり。

子どものいる人なら、考えることもあるんじゃないでしょうか。「子どものために、うちに帰ろう」って。この本を読む前、富士山で早朝に出発したとき、私は「こえぇぇぇ!子ども連れてこないで良かった!」と思いました。立山で別山に向かうとき、子どもがいつも歌っている、しまじろうの歌を口ずさんでいました。

きっと文太郎も死ぬ間際は子ども、そして新婚ホヤホヤで愛する妻を思ったに違いありません。その思いが最後の描写になったことは、十分すぎるほど感じました。

「山を想えば 人恋し 人を想えば 山恋し」とは登山家兼歌人の百瀬慎太郎の歌。加藤文太郎の描写にはこんな歌を思い出すと同時に、「あ、俺もそうそう」と共感します。

ちなみに松本から上高地へ向かう国道沿い。百瀬家だらけでビビります。

禁断の勝手キャスティング

※ここからは、まだ読んでない人にとって先入観を植え付ける内容です。読まない方が良いかもしれません。

読者にとって、活字を追いながら情景をイメージするのは読書の楽しみの一つ。すでにドラマ化や映画化したものであれば、自然とその人が頭の中で小説の物語を進行してしまいます。しかし「孤高の人」は、ドラマ化されていません。もしもドラマ化したら、配役はどうなるだろう・・・。

禁断のキャスティング。私はこの人イメージで行きたい。

加藤文太郎(上川隆也):主人公。マジメ。寡黙。年齢は置いておいて、無表情の演技がいい。

 

宮村健(藤原竜也):かわいい後輩。チェリー。若い。若すぎる故の暴走っぷりに期待。

 

金川義助(山田孝之)研修生時代の仲の良い同期。アカ。後にチンピラ。スケコマシ。多くを演じ分けられる。

 

外山三郎(渡辺謙):優しい上司。山の先輩として頼れる上司。私生活は別として。

 

影村一夫(香川照之):いじわる上司 部下の手柄は俺のもの。田口みやと不倫。おでこのオイリッシュ具合もいい。

 

園子(石原さとみ):外山の姪というお嬢様から最後はアバズレというフリ幅。「ガッジ~ラ」と言って欲しい。

 

花子(有村架純):文太郎の嫁。できた女房。文太郎の記憶に残っていた人。ただ俺の好み。

 

田口みや(蒼井優):影村と不倫。幸薄そうな人。もったいないキャスティング。

異論は認める。むしろ読む人にとってイメージは違うはず。

孤高の人(小説)おわり


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