【やまパレ書房】剱岳<点の記>(小説)


時代は日露戦争直後。その時、まだ日本には空白地があった。その場所は剱岳。地元の人たちからは、「決して登ってはいけない」とされた山岳信仰の地。測量官の柴崎と猟師長次郎は、地図の空白を埋めるべくその頂を目指す。

山を知らない組織は面子を求めた。山を愛するだけがその功績を称えた。


剱岳<点の記>

新装版 劒岳 ―点の記 (文春文庫)

舞台となる山(読後に記憶に残ってる山)

当然ながら北アルプスの剱岳。そして立山。雄山、別山、大日岳(奥大日岳)、浄土山、ザラ峠あたりまでも舞台になっていた気がするし、今は無き立山温泉も描写されていました。

剱岳と私

主人公は柴崎芳太郎。実在した測量官。実話をもとにした小説です。

読んだのは私の中で山ブームが来た直後。立山三山の浄土山、雄山、別山と歩いた後です。

やまパレ
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風の記憶改めマウンテンアワー 登山パレードどっこいしょ
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この山行のときに山の魅力を確信したと同時に、別山から見た剱岳には驚かされました。特に子どもの頃から抱いていた理想の山の形が、リアルにそこにあったこと。40年生きて来た私の中で、剱岳は突如、大きな存在となったのでした。

別山でこの絶景を見た後、剣御前小屋を経て雷鳥沢からみくりが池温泉に歩きました。

剣御前小屋では、それはもう、ベテランエキスパート登山家様が大勢いるわけです。話し声も聞こえていましたが、何を話しているのか全く理解できない山の話をしているわけです。

タオルを頭に巻いた私とは違ってヘルメットを被り、富士山で凝りて慌てて買ったキャラバンC1-02を私が履いている一方、ゴツくて黄色い靴(例えばトランゴSエボとか、Sエボとか・・・)を履いていて、「登山と言えばチェックのシャツだろ?」と思って着ていた私とは一線を画すマンモスマークのスポーティーなシャツを着た人が、剣御前小屋で楽しそうに話しているわけです。

この時「剱岳ってすげぇな。こんな山登れるエキスパートは、大学山岳部出身じゃないとダメなんだろうな」と思っていました。

そうは思っても、別山からずっと右側に剱岳を見て、一歩進むごとにわずかに変わる見える角度の違いを楽しみ、剣御前小屋まで下りた私は完全に浮かれています。

剣御前小屋で「剱岳」と書いてあるTシャツを買っちゃいました。そして家に帰ってきて気づきました。

登ってないから、恥ずかしくて着れない。

しばらくは「記念品」として保管していましたが、いつしか「コイツを着れるようになろう!」と思うようになりました。

そのための1年目夏のノラマ銀座縦走、2年目の⇒穂高⇒槍ヶ岳

あと、まだ歩いていない後立山の八峰キレットと不帰キレットを歩けば、私の中で剱岳に歩く資格があるんじゃないかと考えています。

ここから本の話題

これほど私の中で偉大な存在の剱岳。私よりも数十倍、数百倍もの難易度で主人公、柴崎の前に立ちふさがります。

  • 柴崎は測量官として、それまでいくつも山の頂に三角点を記して地図を作製してきました。(私の35倍くらい凄い)
  • 地図を作製するってことで、当然登山道の開拓から。(26倍くらい凄い)
  • 日露戦争後という明治時代。装備なんか今と比べて貧弱で、さらに測量の器具つき(19倍くらい)
  • 「あの山は登っちゃなんねぇだ」という完全アウェー。(16倍)
  • 軍の命令による「失敗したらシネ」というプレッシャー(10倍)

少なくとも私の106倍凄い。しかし・・・

  • 長次郎という百戦錬磨の相棒と一緒ということで俺の方がすごい。(マイナス5倍)
  • 小島烏水という「友」と書いてライバルによるモチベーションが無い分、俺の方がすごい。(マイナス1倍)

これで100倍凄いことになりました。

小島烏水は実在の人物。読み始めた頃は「とんでもねぇお金持ちお坊ちゃんが剱岳の初登を狙いやがったもんだ。柴崎、ぜってぇこのお金持ちに負けるんじゃねぇぞ。お金持ちは悪いヤツ。お金は汚い。お金は戦争を生む」と貧乏根性丸出しで悪役だと思っていました。

ところがどっこい。

柴崎たちが登って下りて来た後。測量のために望遠鏡で山頂の櫓を見ていると・・・。

「すごい良いヤツ。ひょっとしたら柴崎の立場を汲んで、先を譲ったんじゃないか? てか一番柴崎を評価してるの、コイツだろ」と感じさせました。

さすが、映画版では仲村トオルが演じるだけある。それで・・・。

「やっぱり軍部はダメだ。いや、若手は分かってるっぽい。老害がダメだ。何が初登ならず残念だ。老害はいつの時代も老害だな。俺はいつまでもフレッシュで行こう。若い奴らには俺が若いことを認めさせよう。差し当たって俺の昔の武勇伝を聞かせて、それから・・・」と思わせます。

他の映画やドラマと御多分に漏れず、帝国陸軍上層部のクズっぷりに、主人公柴崎たちとライバル小島たちのキャラを良い方に引き立てる、ギャップの手法ですね。

ここまででも中々あらすじっぽくなりましたが、語れば語るほどネタバレが増えるということで、後は是非、ご自身で読んでいただき、それぞれ勝手に盛り上がってくれたらいいと思います。

禁断のキャスティング

これ、すでに映画があります。映画を見た後だと、もう脳内ではその人で演じるしかない。私は小説を始めに読んだのですが、長次郎、もうちょっとマッチョかと思ったよ。

キャスト出てますね。誰が誰役だか、見れば分かる。

関連する本

本編で362ページ。その後に新田次郎のあとがきが43ページもあります。

映画版のガイドブックらしい。

実在の人物ですから、他の人も書きたいよな。

【やまパレ書房】剱岳<点の記>(小説)おわり

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